相手を見るとき、対象部位だけを見るのでは不十分です。「見る」行為には、視覚情報だけでなく、相手への尊重や関係性を伝える非言語的なメッセージが含まれます。同じ目線で見ることで平等を、近くから見ることで親しさを、正面から見ることで誠実さを示す一方、見下ろす姿勢は無意識に相手に対して否定的なメッセージを送ってしまうこともあります。
「当社に関わる方々の幸せを切に願い希望を明日へつなぎます」という理念のもと、入居者様やご家族様にやすらぎと満足を提供し、社会に貢献することを目指しています。その具体的な取り組みとして、フランス発祥の介護手法「ユマニチュード」を採用し、MCS×IGM-Japonがコラボレーションし、専門指導員を招いた正規研修を実施しています。さらに、日本ユマニチュード学会の賛助会員として活動し、高齢者の方々へ「やさしい介護」の提供に努めています。
相手を見るとき、対象部位だけを見るのでは不十分です。「見る」行為には、視覚情報だけでなく、相手への尊重や関係性を伝える非言語的なメッセージが含まれます。同じ目線で見ることで平等を、近くから見ることで親しさを、正面から見ることで誠実さを示す一方、見下ろす姿勢は無意識に相手に対して否定的なメッセージを送ってしまうこともあります。
ケア中の「じっとしていてください」などの言葉は、無意識に命令や不快さを伝えることがあります。相手を尊重するためには、声のトーンや言葉選びが大切です。ユマニチュードでは、無言による否定的なメッセージを避けるため、ケア中の動きを前向きな言葉で伝える「オートフィードバック」を取り入れています。
ケア中に無意識に「つかむ行為」は、相手の自由を奪い、認知症行動心理症状を引き起こす可能性があります。優しさを伝えるためには、「広い面積で触れる」「つかまない」などの触れ方の工夫が重要です。触れ始める場所にも配慮し、肩や背中などの鈍感な部位から手や顔などの敏感な部位へと進めることが大切です。
人間は直立する動物です。立つことによって体のさまざまな生理機能が十分に働くようにできています。さらに立つことは「人間らしさ」の表出のひとつでもあります。1日合計20分立つ時間を作れば立つ能力は保たれ、寝たきりになることを防げるとジネストは提唱しています。これはトイレや食堂への歩行、洗面やシャワーを立って行うなどケアを行う時にできるだけ立つ時間を増やすことで実現できます。
ユマニチュードではすべてのケアを一連の物語のような手順「5つのステップ」で実施します。
この手順は1・出会いの準備(自分の来訪を告げ、相手の領域に入って良いと許可を得る)2・ケアの準備(ケアの合意を得る)3・知覚の連結(いわゆるケア)4・感情の固定(ケアの後で共に良い時間を過ごしたことを振り返る)5・再会の約束(次のケアを受け入れてもらうための準備)の5つで構成されます。
いずれのステップも、4つの柱を十分に組み合わせたマルチモーダル・コミュニケーションを用います。
友人の家を訪問するときのように、扉をノックして相手に来訪を知らせるためのステップです。ノックを繰り返すことで相手の覚醒水準が徐々に高まり、脳が人と会うための準備をします。また、「誰かが入ってくることを受け入れるかどうか」を選択していただくことができます。
すぐにケアの話(「お風呂にされますか」「お食事の後のお薬をお持ちしました」など)をするのではなく、「あなたに会いにきた」というメッセージを伝えます。それから、ポジティブな言葉でケアの提案をし、ご本人の同意を得てからケアを行います。もし3分以内に同意が得られなければ、いったんケアをあきらめます。
「見る」「話す」「触れる」を2つ以上同時に使い、ケアの予告、実況、ポジティブな言葉で、「あなたのことを大切に思っています」というメッセージを伝えます。知覚の連結とは、こちらが伝えたいメッセージと相手に伝わるメッセージを一致させることを指します。
ケアをさせて頂いた後には、「気持ち良さそうでしたね。さっぱりされて、私も嬉しいです」など、ご本人にポジティブな感情記憶をしっかりと残して、次回につなげます。
「また会いたいですね」「また来ますね」と約束をします。ご本人が約束を覚えていなくても「喜び」や「期待」などのポジティブな印象が残っていれば、次回も笑顔で迎えてくれる可能性が高まります。